カンボジアの現地視察報告
「WITH PEACE」希望のクロマーが届きました!

地雷原を綿畑に変える支援活動から「WITH PEACE」が生まれた メイド・イン・アースがNPO法人Nature Saves Cambodia-Japan(以下、NSCJ)とともにカンボジア地雷原コットンプロジェクト「W […]

  • Tweet
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

地雷原を綿畑に変える支援活動から「WITH PEACE」が生まれた

メイド・イン・アースがNPO法人Nature Saves Cambodia-Japan(以下、NSCJ)とともにカンボジア地雷原コットンプロジェクト「WITH PEACE」の展開を始めて今年で5年目になります。カンボジアではベトナム戦争と、その後20年続いた内戦によって、世界で有数の不発弾・地雷被害の国になってしまいました。その数は400万-600万個とも言われ、2006年までに約6万人の被害者がいるとされています。

CMAC(カンボジア地雷アクション向上センター)に展示されている地雷原のマップ。北西部に集中していることがわかる

地雷が悲惨なのは「殺さずに生かし苦しみを与える」兵器であるということ。戦時中は敵軍の戦力を削ぐという目的があったからです。カンボジアでは、貧困層がまだ地雷が埋まっている土地の近くで日常生活を送っていることから、農作業の時に誤って地雷を踏み被害に遭うことが多いようです。近年の被害状況では、被害者の18%が死亡、61%が負傷し、21%が手足を切断しています。

こうした土地から地雷を撤去し、農地として再生して、無農薬・無化学肥料による栽培でコットンを育て、カンボジアでかつて盛んだった綿織物の手仕事を復活させようと、NSCJは現地の支援団体Nature Saves Cambodiaと協力して地雷被害者の支援をおこなってきました。わたしたちがNSCJの共同代表の山本賢藏さんと知り合ったことを機に、カンボジア地雷原のコットンを製品化し、「WITH PEACE」というブランド名で展開・販売していくことで、具体的に現地の方々の就労支援や生活支援につなげていきたいと、この活動は今年で5年目を迎えます。

バッタンバン州のNSCJの畑では地雷被害者の方々がイキイキと働く

これまで、メイド・イン・アースではスタッフが定期的にカンボジアに渡り、いまなお多くの地雷が埋まっているカンボジア北西部のバッタンバン州にある綿畑や、首都プノンペンから1時間ほどのコーダエ村での染め・織り工房に足を運び、技術指導と視察をおこなってきました。特に今年は約40種類の新作・新柄・新色を発表することもあり、メイド・イン・アースで織りに詳しい堀越有美子がコーダエ村に張りつき、新しいデザインに挑戦する現地の織り手の方に細やかな指導をし、たくさんのサンプルを仕上げてきました。

一緒にものづくりをして、パターンの概念を理解

「今回の成果は、これまでにないアシンメトリーのパターンについて、現地の織り手さんに感覚をつかんもらえたこと」(堀越)

カンボジアでは内戦時代に自由にものづくりができなかった影響で、元々綿織物の産地であるにも関わらず、技術が途絶え、WITH PEACEプロジェクトでもていねいに技術指導をおこなってきました。糸車や織り機も失われ、昔は糸紡ぎの名手だったおばあちゃんたちは当初、まったく手を動かすことができませんでした。たまたま農家さんの家に残っていた戦前の糸車を見て、ようやく「これなら紡げる」と手仕事の感覚を取り戻していきました。いまでは若い紡ぎ手さんも増え、糸が切れにくくなるなど、糸の調子も安定してきました。

コーダエ村の織り手の女性たちに新柄のパターンを説明

一方、織りに関してはいまでも課題が多いのも事実。色や柄のないシンプルな平織りでは、目に見える技術向上と安定感が生まれてきました。問題は柄。繰り返しのパターンの単調な柄は上達してきたものの、左右でパターンが異なるなどのバリエーションで織ることが難しく、仕様書の指示を理解してもらうのにとても苦労したと堀越は言います。「この色は何cmで、どのくらい詰めて……など、文字や数字で仕様書を読み解くのが、現地の方々は苦手です。直接現場に行って、目の前で織りを実践し、一緒に手を動かすことで、ようやくパターンの意味を理解してもらえました」。カンボジアでは長い内戦によって教育の機会が奪われ、識字率が低いという現状が伝わるエピソードです。

これまで、年に数柄というペースでつくってきたWITH PEACEのクロマーは、今回JETROの支援もあり、40種類の新柄と新色、そしてランチョンクロス、タオル類などの新作も展開します。プレーンな平織り、表と裏で表情が異なる綾織りに加え、透き間を空けたふんわりした風合いの「空羽(あきは)織り」にも挑戦。鮮やかな黄色の糸を織り込んだ新柄、アシンメトリーなチェック柄や、外側の縁だけ色を変えるスタイリッシュな柄なども展開します。

40種類以上の新作・新柄・新色が勢揃い!

昨年12月の「エコプロダクツ2012」「第52回日本クラフト展」での人気投票を踏まえての定番商品化したアイテムと、さらに増えた新作・新柄を、2月6日-8日の「第75回東京インターナショナル・ギフト・ショー2013春」で発表します。お楽しみに!

WITH PEACEへの希望を求める現地の人々

1月は、メイド・イン・アースの前田剛、前田けいこも堀越と一緒にカンボジアに渡り、コーダエ村での現地指導や企画のほか、バッタンバン州バダク村の綿畑での収穫の手伝いと生産者の方とのミーティングや、新しくWITH PEACEプロジェクトに参加を希望する方々への説明会、CMAC(Cambodia Main Action Center=カンボジア地雷アクション向上センター)の見学、世界で最も地雷に詳しいと評価の高いバッタンバン大学の安田理裕教授にお話をうかがうなど、精力的にカンボジア国内を動いて回りました。

今年は雑草も手作業で駆除し、綿の状態がとてもよかった

「特に、バダク村でのコットンの収穫では手応えを感じた」と前田剛。現地で「千の剣」と呼ばれるイバラがたくさんある雑草を根こそぎ手作業で除去し、コットン栽培の環境が著しく向上しているのがわかりました。圃場の整備は今後の課題で、きちんと畝をつくることでより農作業の効率が上がることなどを伝え、また輪作をどのように計画していくかなども話し合いました。

WITH PEACEプロジェクトの進行を知るバッタンバン州の地雷被害者たちへの説明会もおこないました。片方の足を腿から失った男性は「松葉杖でも栽培できるのか?」と尋ねられ「義足がないとコットン栽培や収穫は難しい」など具体的なやりとりを経て、「わたしたちもプロジェクトに参加したい。いまは家族の世話になっているけれども、自立した生活を送りたい」との熱意を肌で感じた前田夫妻。「WITH PEACEの活動は現地の方々に求められている。地雷原を綿畑に変えていき、そのコットンを使う展開をさらに進めていかなければ」と決意を新たにしました。いまは、コーダエ村での紡ぎと染色、織りでクロマーなどのアイテムをつくっていますが、いずれは現地で綿繰りなど簡単な手工業から展開を進めていきたい、と話します。

織り手の表情もイキイキと輝く

「織りの技術も商品の完成度も高まってきているので、わたしたちも自身を持って販売ができる。WITH PEACEが現地の方々の生活を支え、生きがいにも収入にもつながっているのを肌身で感じ、今後ますます、このプロジェクトの重要性が増していく気がします。オーガニックコットンを使った品質のよいものづくりを進めてゆくパートナーとして、関係を成長させていきたい」(前田けいこ)

春先には直営店でも販売も本格的に始まるWITH PEACEの新作。来週は新アイテムを詳しくピックアップします!

☆リンク

2013年2月6日(水)~8日(金)、 オーガニックコットン総合ブランドメイド・イン・アースが 東京ギフト・ショー春2013に出展します!
https://www.made-in-earth.co.jp/publicity/2013/01/28/dreamnews009-2.html

各特集最新記事一覧へ