メイドインアース代表・前田剛の
〜オーガニック&エシカル コラム vol.10〜
「オーガニックコットンは水の使用量が少ない」

オーガニックコットンは水の使用量が少ない 一般的なコットン栽培(コンベンショナル)では、川や地下水から水を引いて農業用水として利用する、いわゆる灌漑設備により大量の水を使用するケースがほとんどです。カザフスタンとウズベキ […]

  • Tweet
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

オーガニックコットンは水の使用量が少ない

一般的なコットン栽培(コンベンショナル)では、川や地下水から水を引いて農業用水として利用する、いわゆる灌漑設備により大量の水を使用するケースがほとんどです。カザフスタンとウズベキスタンにまたがるアラル海という塩湖は、コットン栽培などのための灌漑設備として川をせき止められたことで、流れ込む水の量が激減した結果、60年間で10分の1の面積になってしまい、塩分濃度も高くなってしまいました。漁業や農業、生態系にも大きな影響を与えてしまい、「20世紀最大の環境破壊」と言われています。

オーガニックコットンの栽培では、ほとんどが天然の雨水を利用するので、循環型の水利用が基本です。オーガニックではない通常のコットンの場合、栽培時に水を大量に使う一方で、農薬や殺虫剤などが滲み込んだ地中の雨水が河川に流れないよう、浄水施設を設置して、有害物質を濾過したり、水で希釈して有害物質の濃度を下げてから排水するなどの措置が取られている地域もあります。オーガニックコットンは、通常のコットンに比べて生産量がはるかに少ないので、その分、水の使用量が少ないだけ、という見方もあるようですが、栽培方法や設備などを比べてみれば、その違いは明らかかもしれません。

また、栽培の他にもう一つ重要なのが、オーガニックコットン原綿から製品にするまでの化学的な加工処理。通常は、綿から糸、生地、製品にしていく過程で、脱脂、脱色、染色、柔軟加工などなど、さまざまな化学薬剤を使った処理が施されています。ここでも、工業排水が生まれるわけですが、濃度を下げるために多くの水が使われてしまいます。

ですので、オーガニックコットンを原料としているだけでなく、製造工程にも目を向け、化学的な薬剤処理をしなかったり、もし加工処理を施すにしても生分解性の高い天然由来のものを極力使う、といったことが、本当の意味でのエシカル素材、エシカルファッションと言えるのです。

各特集最新記事一覧へ