子どもの笑顔に関わる仕事をしたい……そこが原点。4

●自然食品店で認められてこそ広がる? ——販路はどのように開拓していったのですか? 前田けいこ: まずは、ブランドの企画書とサンプルのタオル類を持って、関東地方の自然食品店や雑貨を扱っているショップを回りました。当時自然 […]

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●自然食品店で認められてこそ広がる?

——販路はどのように開拓していったのですか?

商品の企画や開発、販路開拓に奔走してきた前田けいこ

前田けいこ: まずは、ブランドの企画書とサンプルのタオル類を持って、関東地方の自然食品店や雑貨を扱っているショップを回りました。当時自然食品店に企画書を持参するようなオーガニック関連の業者はほとんどなかったようで、とても珍しがられました。

私たちはともかくオーガニックの世界では素人だったので、ある意味その世界のプロである自然食品店の人たちに認められてこそ、ブランドが広まっていくだろうという思いがあった。自然食品店の皆さんは好意的に受け入れてくださいました。

——オーガニックコットンは値段が高い、という意見はなかったでしょうか?

前田けいこ: もちろん、価格が高いと言われたこともありましたが、製造工程や素材のことを説明すると、きちんとわかってくださる。元々自然食品店ばかりを回っていたので、すでに食品でその土壌は培われていたのです。

——最初にブランドをリリースしたころのお客さんの反応は?

前田けいこ: 実はオーガニックコットンのタオルって、使い始めのころは吸水性があまりよくないんです。元々、コットンが含む油分があるので。そういったクレームが来るんじゃないかという心配があったのですが、それは杞憂でしたね。むしろ「ふわふわしていて気持ちがいい」という声が多く寄せられたのはうれしい誤算でした。

——創業当時は、ともかく自分たちのつくりたいものをコツコツつくって走り続けてきた、という時代なんですね。

前田剛: 何度もスタッフ間で「カラーバリエーションがほしいよね」という話が出たけれども、今でもオーガニックコットン本来の3色だけでの展開。一部商品に本藍染めなどを用いていますが、いずれカラーバリエーションを出すにしても、草木染めのように自然の色彩を生かし、環境に負荷を与えない染色方法で、と考えています。

それよりもまずは、製造工程の中で自分たちの納得いかないところが見つかった時に、そこに対する改善を追求していきたいと思う。例えば、最初のころ衣類の縫い糸はオーガニックコットンではなかった。オーガニックコットンの糸は切れやすいためです。布団の中綿もコットンではあるもののオーガニックではなくて。それを徐々にオーガニックに切り替えてきたという経緯があります。

——どうしてここまでこだわりを持っていられるのですか?

前田剛: 創業メンバーには一人も繊維やアパレルのプロはいなかった。まったくの素人だったからこそ、オーガニックコットン本来の色にこだわるとか、製造工程で化学薬品を使わないという発想が浮かんだのだと思います。素人なりに、誠実に一生懸命工場を説得し、協力者を増やしてきました。今考えてみるととてもありがたいことです。

私たちは、天然無垢のままのコットンを、そのままの状態でお客さんに届けたい、という思いが強くあります。肌が敏感な方や、赤ちゃんにも安心して使っていただけるのはもちろんですが、その気持ちよさや安心感は誰にも共通のものだと思います。オーガニックコットン本来の持つやわらかさ、風合いを、一人でも多くの方に体感していただきたいですね。

(聞き手・文/キタハラマドカ@メイド・イン・アースPRESS担当)

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