- フロム・メイド・イン・アース
- 2018/03/25
希望の種をまき、傷ついた心を癒す。地雷被害者の独立をサポートする「WITH PEACE」ブランド。
カンボジア王国は、タイ、ラオス、ベトナムと国境を共にし、比較的良いとされる治安や世界遺産のおかげもあって旅行先としてしても人気の国。しかしこの国には、ほんの数十年前まで暗黒のような辛い歴史が存在したことをご […]
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カンボジア王国は、タイ、ラオス、ベトナムと国境を共にし、比較的良いとされる治安や世界遺産のおかげもあって旅行先としてしても人気の国。しかしこの国には、ほんの数十年前まで暗黒のような辛い歴史が存在したことをご存知でしょうか。
なぜわたしたちメイド・イン・アースが「WITH PEACE」ブランドを大切に思っているのか。ブランド設立に欠かせないカンボジアの歴史の話におつきあいください。
カンボジアがフランス領から独立した後、1960年代にはアメリカと隣国ベトナムとの戦争が悪化、その影響を受け、カンボジアでも国内クーデターと内戦が拡大。結果として大変多くの尊き命が奪われました。
1992年にカンボジア和平協定が成立したことで、22年間にもおよぶ内戦は終わりを迎えますが、400万とも600万ともいわれるおびただしい数の地雷が国中に埋められてしまいました。
地雷は、地面に埋められた爆弾。目に見えないため何も知らない誰かが足を踏み込まれた瞬間に爆発する仕組みです。実際ほとんどの地雷は兵士の命そのものよりも、兵士の手足に怪我をさせ、傷ついた兵士を2〜3人の兵士で運ばせることによって戦力を弱め、経済的な国力を奪い減らすことが目的でした。月日が経った現在、不発弾も多く存在しており、爆破するかもしくは解除されるまで、誰の目にも触れずにその場に残り続けてしまいます。
つまり戦争が終わったにもかかわらず、いまだ罪のない誰かを、老若男女を問わずに傷つける紛れもない無差別かつ非人道的な兵器なのです。
いまだに悲しい事故がおきる一方で、地雷除去活動をするカンボジア地雷対策センター(CMAC)などの活躍により、カンボジア全土における根気強い地雷除去も進んでいます。
戦時中カンボジア国内でもっとも多くの地雷が埋められたバッタンバン州・バダク村でも、CMACの協力を得て4ヘクタールの広さを地雷除去し、そこでオーガニックコットンの栽培を始めたのが「ネイチャー・セイブズ・カンボジア」というNGOの皆さんでした。
メイド・イン・アースの「WITH PEACE」も、ネイチャー・セイブズ・カンボジアとの出会いがきっかけとなり後に誕生します。ネイチャー・セイブズカンボジア(NSC)は地雷被害者に寄り添い、社会的な自立をサポートすることを目的にかつての地雷原を開墾。綿の種を蒔き、無農薬・無化学肥料のオーガニックコットン畑を作りました。体のこともあってなかなか職に就けない地雷被害者に、かつてこの土地で戦前まで盛んだった産業を取り戻そうとしたのです。
戦争はあまりに深い傷跡と共に、ここにあった綿の種も木も、農家も、織り手も、何もかもを奪い去りましたが、地雷さえなくなったら土地自体はとても肥沃な土。皮肉ではありますが、地雷があるがために長いこと誰の手も入らなかった間、土は自然界からの栄養素を蓄えつづけていました。
そして地雷除去後、まるで未来の希望はまだ残っているよ、と伝えるかのように傷ついた人々を受け入れてくれたのです。
メイド・イン・アースでは、NSC代表のソック・ラスメイさん、そしてラスメイさんと共にNSCを設立された山本賢藏さんとのご縁ができた2009年から地雷被害者の支援に参加し、実際に弊社がスタッフ数名でカンボジアを訪れることができたのが2010年。
すでに国内のオーガニックコットンを自社企画で制作販売してきた実績を活かし、カンボジアの元地雷原だった畑で生まれたオーガニックコットンを製品化することが決まり、「WITH PEACE」としてブランド展開をスタートさせました。
弊社スタッフがカンボジアに出向き、現地の織り手さんたちに技術指導を実施。製品クオリティに仕上げるために時間を掛け、技術が安定してきたところでデザインを提案。学校教育までも奪われたカンボジアの女性たちは、仕様書で伝えるよりも、一緒に手を動かす方が正確に伝わります。そばで伝え続けることでお互いの信頼関係を築いていきました。
2017年は8月、12月と2度にわたりカンボジアを訪問。WITH PEACEを作るみんながどんどん制作スキルをあげており、とても頼もしい笑顔を見せてくれました。
かつて心身ともに大きく傷ついたカンボジアでは、このバッタバン以外にも、未だ見えない恐怖に怯えながら土を耕している人たちがいます。1日も早く彼らが安心して暮らせるように、わたしたちメイド・イン・アースはWITH PEACEを通して地雷除去と地雷被害者の独立支援に寄り添い、世界平和の実現に少しでも貢献したいと思っています。
今年はこれまで以上に新しい商品アイテムや、カンボジアの女性たちとのコラボ、さらに皆さんにカンボジアの魅力を身近に感じてもらえるような企画を考えていきます。
どうぞ引き続き、あたたかいご支援とご協力をお願いいたします。