オーガニックコットンが世界を変える。3

●広がりつつあるオーガニックコットンの価値 ーー全世界でのオーガニックコットンの生産量は伸びているのでしょうか? 前田剛: 驚くほど伸びています。2007-08年度から2008-09年度にかけて全世界でのオーガニックコッ […]

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●広がりつつあるオーガニックコットンの価値

ーー全世界でのオーガニックコットンの生産量は伸びているのでしょうか?

前田剛: 驚くほど伸びています。2007-08年度から2008-09年度にかけて全世界でのオーガニックコットンの生産量は20%の伸びをみせ、2008-09年度から2009-10年度にかけてはさらに約15%アップしました。全コットン生産に占めるオーガニックコットンの総収穫量は、2008-09年度には0.9%だったのが、2009-10年には約1.1%にまでのびています(テキスタイルエクスチェンジ調べ)。

メイド・イン・アースのオーガニックコットンタオル

ーーその要因は?

前田剛: 日本でも量販店などでオーガニックコットン製品を見かけるようになったように、世界の企業が環境対策やイメージアップの一環でオーガニックコットン製品を扱うようになったことが大きいのではないでしょうか。

そのこと自体については、私はとても素晴らしいことだと考えています。オーガニックコットンの農場が増えれば、少なくとも大量の農薬や化学肥料を使う通常のコットン栽培よりも環境負荷を減らすことができますし、農業従事者や周辺住民の農薬による健康被害も防げる。労働環境も改善されます。

ソーシャル・ビジネスの観点からも注目されているアウトドアブランドでは、すべてのコットン製品をオーガニックコットン100%に切り替えています。オーガニックコットンを使う意義を企業の社会的責任の一つと位置づけているところがとても格好いいと思います。

アパレル関連のグローバル企業でも、CSR(Corporate Social Responsibility)の一環で、製品の一部にオーガニックコットンを使用することを発表しています。製品の数パーセントを切り替えるだけで相当量のオーガニックコットンの取引が生まれるので、その社会的影響力は大きいと思います。

一方で危惧されることに、オーガニックコットンが大量生産・大量消費の波に呑み込まないかということです。大量生産・大量消費社会と、途上国の生産者への労働力や金銭面での搾取は表裏一体です。せっかく農地がオーガニックに変わったのに、安い労働力でコットンを買いたたかれる状況が続くのであれば、生産者にとってのメリットは決して大きくないと言えます。

多くの企業がオーガニックコットンを使用していくことが、企業の環境配慮、社会貢献という本来の目的で広まっていくことは歓迎です。ただ、オーガニックコットン製品が「安全・安心」というイメージで消費者に浸透していることについては、疑問を感じる面があります。オーガニックコットンを含めたコットン製品の製造工程や課題など、これまでメイド・イン・アースで取り組んできたことについて、詳しくは次回お話しします。

(了)

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