「和綿の種ひろがるプロジェクト」から生まれた、
コットン栽培を通した出前授業、2023年度のご報告

    SDGs、エシカル消費をリアルに体験できる「出前授業」 2023年度の「和綿の種ひろがるプロジェクト HOME GROWN」も、学校や地域グループ、一般のご家庭、商店街、企業など、多くの方々にご参加いただきました […]

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SDGs、エシカル消費をリアルに体験できる「出前授業」


2023年度の「和綿の種ひろがるプロジェクト HOME GROWN」も、学校や地域グループ、一般のご家庭、商店街、企業など、多くの方々にご参加いただきました。そして、この和綿栽培を軸として、小学校や高校、大学などの学校や、地域グループ、企業の労働組合、商店街など多くの方々に向け「出前授業」「出張講座」を行ってきました。


「出前授業」では、コットン栽培だけでなく、世界のコットン栽培の現状のお話、糸紡ぎや織りのワークショップを通して、栽培からモノづくりまでの流れを体験することで、SDGsにつながるエシカル消費やモノを大切にする心、作っている人への感謝の気持ちを育んでもらえたらという思いで、いつも子どもたちと向き合って授業を進めてきました。

 

 

土に触れ、ふわふわなコットンに触れ、世界に一つだけのコースターを織る


この出前授業での学びは、コットンの栽培やエシカル消費といったことだけではありません。土に触れ、日々水をあげて愛情を注いだり、時には虫との遭遇や雑草とのたたかいもあります。そして収穫したふわふわなコットンに触れて、コットンの柔らかさや温かさを肌で感じ、目だけでなく指先でも糸紡ぎの感触やコースターの織り具合を感じ取りながら、少しずつ繊細な作業を進めていくことで、世界に一つしかない、自らの手で作り上げた”モノ”がそこに生まれます。


手先の器用な子、ゆっくりだけどとても丁寧に仕上げる子、ざっくり大胆に進める子、視覚に障害のある子、あまり授業に馴染めない子などなど、いろいろな子どもがいるなかで、一人ひとりが目をキラキラ輝かせながら、個性をあらわにし、それを存分にいかして、作業を進めていく姿に毎回、感動と気づきを与えてもらっています。


 

 

2023年度の出前授業の一例をご紹介


世田谷区立八幡小学校では昨年度に続き、3年生の児童が「ひろがれ和綿プロジェクト」というタイトルで総合学習の授業で、和綿の栽培から、糸紡ぎ、コースター織りまでを一年間かけて実施しました。糸紡ぎも織りも、最初のうちはとても難しいと嘆く子も多いのですが、最後までやりきって、コースターが仕上がったときの子どもたちの喜びいっぱいの笑顔は、とても素敵で、この笑顔がこちらに大きなエネルギーとなってかえってきます。


東京都立文京盲学校(高校)では、「わたわたプロジェクト」と題して家庭科の授業時間をベースに、全生徒で6月から3月にかけて和綿の栽培を行い、弱視などの視覚障害を持たれている生徒たちが、糸紡ぎ、コースター織りを体験しました。普段あまり触れることのない土を素手で触り、種を蒔き、間引きをし、弾けたふわふわなコットンを摘み取っていました。そして、糸紡ぎや織りの体験では、研ぎ澄まされた指先の感覚をフルに使って、とても丁寧にコースターを織り上げていました。


また、東京都立国際高校では生物の科目で「環境科学」、法政大学国際高等学校では社会科で「国際理解」、三輪田学園中学校では家庭科で「探求」をテーマにした授業で取り組ませていただきました。その他、世田谷区立赤堤小学校、館山市立館野小学校などの学校や、自由が丘商店街、ワコール労働組合、タマリバタケなど地域のグループでも、和綿栽培だけにとどまらず、リアル、オンラインも含めて、エシカル講座と糸紡ぎの出前授業、出張講座を展開しました。


 

 

和綿の種ひろがるプロジェクトが生まれた背景


1995年からオーガニックコットン製品を販売する一方で、500年以上前から続いてきた日本在来種のコットンが、明治時代を境に無くなってしまった事実を知りとても残念な気持ちになっていた際に、日本在来種のコットンの種を守っていた千葉の鴨川和棉農園さんと出会うことができました。


そこで、日本の衣の文化を守りたいという、そのご縁から、”和綿のタネ”を守ってゆく!をコンセプトに、2003年より日本の自給率ゼロの綿花栽培の復活を目指す、「和綿の種ひろがるプロジェクトHOME GROWN」をスタートさせました。2023年度は、地元の自由が丘商店街振興組合さんのような団体や企業を含め、学校、個人など、全国で3500人以上の方々が参加してくださるプロジェクトに成長してまいりました。

 

多くの子どもたちに、伝えたい、体験してもらいたい


教育の場での和綿栽培も希望していただける学校で展開するうちに、学校からの評判もよく、子供達も楽しく体験できるものとして、「さまざまな新しい体験が学びにつながる」「知らなかったことが知れて楽しかった」などのご感想をたくさんいただき、更に、全国の子供達にも体験していただきたいと考えるようになりました。


本格的にSDGsやエシカル消費をリアルに感じられる授業として、「種まきから始まり、収穫、糸つむぎ、織り体験など」をさまざまなお話をしながら、楽しんでいただきたいと思い、これからもより多くの学校、子どもたちに伝えていきたいと思っています。


2024年3月 前田

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