前田けいこの心地よい暮らし対談
第一回 後編

メイド・イン・アースのブランドマネージャーの前田 けいこが、今お話を聞きたい方をお招きして、貴重な対談をしていきます。 第一回目のゲストは薬剤師 山田智子さんです。 化学物質過敏症は、まだまだ知られていない病気であり、周 […]

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メイド・イン・アースのブランドマネージャーの前田 けいこが、今お話を聞きたい方をお招きして、貴重な対談をしていきます。

第一回目のゲストは薬剤師 山田智子さんです。

化学物質過敏症は、まだまだ知られていない病気であり、周囲の理解が得られにくいことがあるのを知りました。

そこで、この病気の症状や改善についての知識を、多くの方にぜひ共有したいと思い、薬剤師であり、発症経験者である山田智子さんにお話を聞きました。

後編>>

病気をコントロールする8つの生活習慣


 けいこ

智子さんは現在、完治していらっしゃるのでしょうか。

 智 子

私の場合、完治とはいえないかもしれません。いまは症状をコントロールできている状態です。発症から2年目に妊娠し、健康な子どもを出産したことは、主治医にも驚かれました。かつて不妊治療を受けていたこともあって、自然な妊娠も順調なお産も、自分にとっては縁のないものだと思っていたのです。生活改善をコツコツ積み重ねていけば、症状は良いほうへ向かうし、カラダの健康も得られるということだと思います。

 けいこ

症状のコントロールについて、教えていただけますか。

 智 子

はい。次の8つの生活習慣を実行しています。
1)自宅室内に、化学物質を発生させるものを使用しない、持ち込まない。
2)質のよい睡眠を確保する。
3)食事は和食中心。質のよい食材を選び、野菜をしっかりとる。
4)薬はなるべくとらずに、自分に合うセルフケアを見つける。
5)運動の習慣を持ち、エアコンの使用は最小限にして、汗をかくライフスタイルを保つ。
6)電磁波をなるべく避け、短時間の使用にとどめる。
7)衣類、寝具、生理用品など肌に触れるものは天然素材を選ぶ。カラダや骨格を締めつけるものは普段使いしない。
8)メンタルケアを心がける。無理をしない。人は自分と違うことを理解する。

 智 子

いわば養生生活ですね。このライフスタイルを保ちながら、自分にいちばん合ったもので家をつくっています。居心地のよい場所を確保し、養生して暮らすことで、「養生貯金」ができます。貯金のおかげで、いまは多少の無理もきくようになっています。原因となる化学物質を含むものであっても、使い方やつきあい方を工夫することで、共存できるようになりました。

化学物質過敏症とともに生きる

 けいこ

具体的な8つの方針、参考になります!今日はたくさんのお話をお聞きすることができました。最後に、まとめの質問をさせてください。化学物質過敏症を乗り越えるために、必要なことは何でしょうか。

 智 子

三つあると思います。
まずひとつ目は、原因物質を取りのぞく徹底した対策です。
原因となる化学物質について、よく知ること。怖いかもしれませんが、知ることは立ち向かうための第一歩です。反応物を知ったうえで取りのぞく対策をとりましょう。

 智 子

二つ目は、ライフスタイルの変更を恐れないことです。
体質もライフスタイルも、親から受け継いだものです。自分に無理を強いるライフスタイルを続けていては、体調が改善しません。がまんしたり、まわりに気を使ったりして、カラダの声が聞こえなくなっていませんか。
自分のカラダに何がよくて何が悪いかは、自分にしかわかりません。ひとつでもいいので、自分にとって心地よいものを暮らしに取り入れてみてください。パンツ1枚からでもいいと思います。

 智 子

三つ目は、メンタルケアです。
この病気はうつ病などを併発することがあります。 化学物質過敏症が直接の原因で死ぬことはないと思いますが、うつ状態で亡くなってしまった方もいらっしゃいます。
無理をしないこと、自分の力を信じること、誰かひとりに頼りすぎず、支援先を増やすことを心がけてほしいと思います。 乙武洋匡さんの本『五体不満足』を、私は何度も読みました。
印象的だったのが「障害は、不便だけれど不幸ではない」ということばです。 このことばは、化学物質過敏症にもあてはまります。 発症によって生活は不便になるかもしれませんが、不幸になったわけではありません。
病気があっても幸せになることはできます。 その気づきが訪れたとき、化学物質過敏症と共存できるようになるのだと思います。

 けいこ

ありがとうございました。
「“病気になったこと”は、不幸ではない」ということばの重みを感じます。病気が気づきにつながり、生活を大きく改善することで幸せをたぐり寄せた智子さんご自身が、まさにこのことばを証明しているといえますね。
智子さんが実践している8つの生活習慣は、病気への不安がある方にとっても、私たち誰にとっても大切にしたい内容で、学びの多い時間でした。これからも有害な化学物質を使用しない、カラダにやさしい純オーガニックコットンの製品づくりをさらに続けていきたいと強く思いました。智子さんありがとうございました。

(取材・ライティング 神保りょう子)

山田さんが、ご愛用してくださっているメイド・イン・アース製品

布ナプキン
ふとん
インナー
布おむつ

山田智子さんのプロフィール

薬剤師。1987年、北海道大学大学院薬学研究科・修士課程卒。

札幌市衛生研究所、企業管理薬剤師、調剤薬局勤務を経て現在に至る。

2000年、化学物質過敏症を発症。医師はじめ多くの医療関係者の指導のもと、生活改善に力を注ぎ、回復。

自らの経験と薬剤師としての知識を生かし、化学物質過敏症の生活指導をはじめ、香害やアレルギーなどで困っている人やその家族のために活動中。

 

前田けいこプロフィール

メイド・イン・アース ブランドマネージャー(株式会社チーム・オースリー) AEAJアロマセラピスト 「からだの中の自然とつながる心地よい暮らし」(青春出版社)

1989年に株式会社チーム・オースリーを設立。1995年に栽培、紡績、製織など製造工程、縫製糸やネームタグに至る最終加工まで純オーガニックコットン素材にこだわる「メイド・イン・アース」を立ち上げる。出張授業で布ナプキンやカラダのお話、手作りWSを展開。「和綿の種ひろがるプロジェクトHOME GROWN」では和綿栽培を広めるために活動中。

 

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