子宮を温めて、「笑顔」で赤ちゃんに来てもらおう! 産婦人科医・池川明先生インタビュー【後編】

6月10日に開催する「第4回布ナプキンフェスタ2017」のスペシャルゲストは、「胎内記憶」で有名な産婦人科医で医学博士の池川明先生です。長年、女性の妊娠、出産に寄り添ってきた池川先生は、日用品に含まれる有害物質と女性の身体の関係性にも詳しい方です。メイド・イン・アースのブランドマネージャー・前田けいこが、30年以上産科医療の最前線で妊娠・出産に携わってきた池川先生にインタビューしました。

  • Tweet
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

【~前編はこちら~】

 

 

■「笑顔」が赤ちゃんを引きつける?

 

けいこ: 一方で、今、不妊治療に通っている方が多いのも気になります。メイド・イン・アースのお客様にも、不妊に悩んでいるため、布ナプキンに変えたという方もいらっしゃいます。

 

池川: 最近、出産の高齢化が進んでいて、妊娠や出産にまつわるさまざまなトラブルは、高齢出産が最大の問題でないかと感じています。男女共同参画の推進により、女性の社会進出が進みましたが、男性と同じように朝早くから遅くまで競争社会のなかで身を粉にして働くなかで、女性が男性化してきた面もあるのではないでしょうか。人間関係や長距離の通勤などでのストレスも多いと思います。

同時に、現代は化学物質や化学調味料など、日用品や食料品に様々な有害なものが含まれていて、それによるストレスにさらされる局面も増えています。こうした複合的な要因から、不妊の方が増えていることは否めません。

もう一つ、社会環境が子育てに適してないという悲しい現実もあります。昔は両親だけで子どもを育てるのではなく、地域のおせっかいなおばさんたちがよその子もまとめて面倒を見るような、おおらかな社会でした。でも今は、子どもがちょっと怪我したら学校や保育園に怒鳴りこんだり、おばあちゃんが子どもに甘いものを与えて困るから実家には行きたくないとか、誤解を恐れずに言えば、自分の子育ての理想を追求して、逆にどんどん子育てしにくい環境を親自身がつくってしまっている気がします。

また、最近の妊婦さんは、「いいお産をしよう」と、出産そのものをゴールに据えることが多い傾向にあると思います。私は本来、出産と子育てのゴールは、子どもが20歳、30歳と、大人になった時に、その子も両親も幸せな人生を送っていることである考えます。「いいお産」をファッションのようにとらえて形にこだわってしまうと、その先にあるもっともっと大切な家族の幸せを見逃しがちになり、その後何十年と続く子育ての体力がなくて、子育てがつらくなっています。出産から20、30年後の余生も含めてイメージできて、そこに向けて意識的に心身を鍛えるためにも、出産の時期はあまり遅らせない方がいいのではないでしょうか。

 

けいこ: 妊娠や出産を望む女性が気をつけるべきことって、なんでしょうか。

 

池川: 何か一つだけと言われれば、私は間違いなく「笑顔」と答えます。「いいお産」とは何かを突き詰めていくと、「笑顔の出産」なんですね。恐れや不安、怒りなどを抱えてお産にのぞむと、お産がこじれてしまいます。胎内記憶を意識すると、笑顔のお産につながっていくんですよ。

お腹の中で赤ちゃんには意識があるし、赤ちゃんもいろいろ考えているから、赤ちゃんときちんと話しましょう、とご両親には伝えています。例えば赤ちゃんが「苦しいからこんなものを食べるのをやめて」と言えば、赤ちゃんが笑顔になるためにお母さんもやめられるでしょう。

人間の魂には「我」と「愛」の両方があります。不妊治療に追われて夫婦生活を送っても、魂の周りに「赤ちゃんを作らなきゃ」という「我」がべったり張り付いてしまっているから、それがバリアになって、赤ちゃんがその魂のところに来られなくなっている可能性があります。我とは、物欲、名誉欲、金銭欲に象徴されますが、我で赤ちゃんが欲しい、というのはそれに近い状態です。

一方で、愛に満たされていて、赤ちゃんが大好きという気持ちでいると、お母さんの魂の「愛」の部分に光があたり、お母さん本来の魂が輝いてくるので、それを目印に赤ちゃんがやってきやすくなります。不妊治療をあきらめたら自然に妊娠をした、という話を時々聞きますが、「我」で張り巡らされていたバリアがとれるからなんですね。

その話をすると、不妊治療中の方で、「私、その状態です」と言って驚く人が結構います。赤ちゃんが本当に可愛いからほしいというよりも、お舅さんに言われるから、友達や妹がいるから、周りのプレッシャーが……という理由で「赤ちゃんがほしい」になってしまうのでは、赤ちゃんは来にくいですよね。赤ちゃんには感情も、お母さんのところにやってくる理由もあるので。

 

けいこ: 妊娠しやすくなるには、笑顔! というのは驚きです。

 

池川: ともかく笑顔ですよね。同じ仕事でも、イヤだなあと思いながらやるのか、喜んでやるのかで、成果が変わってくるように、「赤ちゃんがほしい」という我欲で不妊治療に取り組むのではなく、両親ともに幸せな気持ちであることが何よりも大切だと思うのです。

血液は酸素と栄養を身体中に運びます。それだけでなく体温すなわち温度も体に届けて、暖かさが体をめぐります。日頃から子宮に話しかけて、ストレスがない状態で温かい血液が子宮に流れることを意識すれば、妊娠しやすくなるのではないでしょうか。少しくらいの化学物質が流れ込んだとしても、血管が開くと血液がどんどん循環していくから、毒素も排出しやすいはずですよ。そのためには、何よりも笑顔でいることが大切ですよね。

月経は赤ちゃんがやってくるために必要なことです。子宮の立場にしてみると、赤ちゃんがくるために毎月準備をしているのに、「生理痛でつらい」「生理が乱れた」「面倒くさい」など、月経に対してネガティブなイメージばかりを持って、子宮に対する感謝がない人が多いんですよね。不妊治療にしても同じことが言えて、今まで、赤ちゃんがくるために子宮が準備してくれていたのに、子宮への感謝や挨拶抜きだと、子宮の立場だったらきっとがっかりしますよね。まずは、卵巣や子宮にきちんと挨拶することが、大切な気がします。

そうすると赤ちゃんがすべて調整してくれる気がします。赤ちゃんだって、お母さんのお腹に来たいタイミングってありますよね。そうすれば夫婦生活も引き寄せるし、いい卵子といい精子が出会えるかもしれない。赤ちゃんが自然な計らいを用意してくれるはずです。まあ、こうした話も、信じる人だけが聞いてくれればいいんですけど(笑)。

 

 

 

■布ナプキンが生理と向き合うきっかけに

 

けいこ: メイド・イン・アースでは、全国の中学校に出向いて布ナプキンの講座をおこなうなど、初経教育にも力を注いでいます。保健室の先生とお話しすると、初経を迎えた女の子で、生理痛がひどいという子が結構いると聞きます。

 

池川: 市販の使い捨てナプキンやシャンプーなどの化学物質が影響していたり、普段から食べるジャンクフードの砂糖や化学調味料の影響もあるのではないでしょうか。親が妊娠中に食べた食事など、親から引き継いでくるものも無関係ではないと思います。経皮毒の場合、微量であれば少し毒が入っても汗や排泄物で抜けていきますが、微量でも毎日摂取し続けていけば体内に蓄積します。それが、妊娠中の胎内でたまってきて、子どもたちに影響していることもあるのではないかと思います。

今、厚生労働省が「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」を進めており、池川クリニックも調査に協力しています。これは、体内の汚染物質が赤ちゃんの発育にどのような影響を及ぼすかという調査で、妊娠中から13歳になるまでの子どもの健康状態を定期的に調査する、日本ではかつてないほどの大規模で長期的な調査です。全国15カ所、10万組の親子が対象です、そろそろサブ解析が出始めているころで、この調査がまとまれば非常に大きなインパクトを与えるのではないでしょうか。

 

けいこ: 子どもたちへの初経教育について、家庭の役割も大きいように思います。布ナプキンを使う家庭だと、使用済みのナプキンをごみとして捨てず、つけおき洗いしているから、子どもたちに自然と生理について話す機会が増えます。月経と妊娠の関係きちんと伝えられれば、子どもたちも自然に自分の「性」を大切に思うようになるのではないでしょうか。学校の初経教育だと、どうしても生理への対処法がメインで、妊娠のために生理があるという基本的なことが伝わっていない気がします。

 

池川: 学校での教え方に問題があるのかもしれませんね。教える側の先生が照れてしまって、性交を恥ずかしいことだと思い本質的な妊娠と月経の関係を伝えられないのだと思います。まずは家庭教育が大切かな、と思います。

池川クリニックではお産にきょうだいが立ち会うんですね。赤ちゃんがどうして生まれるのかを見てきているから、きちんと妊娠と出産を理解します。これも性教育の一つですよね。

 

けいこ:メイド・イン・アースでは、原料も製造方法も、すべてこだわって製造した純オーガニックコットンで布ナプキンをつくっているので、やわらかさが格別だと感じています。ご愛用者は口をそろえて「肌ざわりがいい、やわらかい、温かい」とおっしゃいます。

化学製品でできた使い捨てナプキンを使い続けていると、肌の感覚が鈍ってきて、生理の時の経血の状態や細かいことがわからなくなってしまうように感じます。だけど、布ナプキンに変えて使い慣れてくると、肌本来の感覚を取り戻す人が多いような気がします。もちろん、使い捨てナプキンでも元気な人もいるし、布ナプキンが絶対いいと押し付けるのではなく、必要な人に必要な情報を届けていきたいと思っています。そうすれば、人はおのずとよいものを選ぶようになってくるのではないかと期待しています。

 

 

池川: お腹の赤ちゃんと対話することと同じように、子宮に対しても感謝の気持ちを持ち、日頃から挨拶をすることを心がけるとよいと思います。布ナプキンを使うかどうかについても、子宮に尋ねればいいですよね。子宮が「いいよ」と言ってもらえたらぜひ使えばいいし、イヤだと言われればやめればいい。

子宮が言葉を発する訳ではないから、子宮の声は、聴く人によって感じ方が違います。熱感が変わって答えを感じる人、風が吹き抜けるなど、対話の感覚は人それぞれなのです。それを翻訳していくことに慣れると、子宮からのメッセージがストレートにわかってきます。「そんな気がする」って、大事な感覚ですよね。さらに深めれば、人間は「知恵」があるので、子宮や赤ちゃんとの対話で、自分がうれしいかどうかというフィルターを通じて判断することが大切です。

だから、布ナプキンを使って「子宮の入り口が温まるから、私はハッピーだ」と感じられる状態は、とてもいいことだと思いますよ。

 

けいこ: 布ナプキンを使うことで、自分の経血の状態をチェックするだけでなく、子宮の入り口を温めたり、子宮と対話する日常的な習慣にもなりそうですね。

池川先生、今日は本当に素敵なお話しをありがとうございました!

 

 

【~前編はこちら~】

 

 

 

【プロフィール】
池川明(いけがわあきら)
1954年、東京都生まれ。帝京大学医学部卒・同大大学院修了。医学博士。上尾中央総合病院産婦人科部長を経て、89年、神奈川県横浜市に池川クリニックを開設。「出生前・周産期心理学協会(APPPAH、The Association for Pre‐&Perinatal Psychology and Health)」の日本における元アドバイザー。2001年9月、全国保険医団体連合医療研究集会で「胎内記憶」について発表したのが新聞などで紹介され、話題になる。中間生記憶や前世記憶についても調査し、そこから考えられる豊かな人生について、お産を中心に提唱している。

『ママのおなかを選んできたよ』(二見書房)など、著書多数。

 

【インフォメーション】

「第4回布ナプキンフェスタ2017」
日時:2017年6月10日(土)9:00?18:00
会場:ザ ルーム代官山
東京都渋谷区恵比寿西1-34-17 Za HOUSEビル2F
東急東横線「代官山」駅より徒歩1分/JR山手線・東京メトロ日比谷線「恵比寿」駅より徒歩8分
入場料:事前申し込み無料/(当日1000円)

布ナプキンフェスタ2017

第4回「布ナプキンフェスタ2017」開催のお知らせ

 

 

各特集最新記事一覧へ