「カラダを温め、女性本来の美しさ、自己治癒力を取り戻す」
対談ゲスト:辻内優子さん(ポレポレクリニック)

ポレポレクリニックの扉を開けると、そこに広がるのは森のようにリラックスできる穏やかな空間です。建材はすべて天然素材。化学物質過敏症の方にも 徹底的に配慮し、電磁波対策も万全です。その空間は「メイド・イン・アースの直営店と […]

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ポレポレクリニックの扉を開けると、そこに広がるのは森のようにリラックスできる穏やかな空間です。建材はすべて天然素材。化学物質過敏症の方にも 徹底的に配慮し、電磁波対策も万全です。その空間は「メイド・イン・アースの直営店と似ている」。地球から生まれた天然の空間で、心身ともにほっとリラッ クスできます。

子どもとお母さん、家族全員で通えるように、ポレポレクリニック内には様々な心地よい工夫がほどこされています。そして、患者さんとじっくり対話し、その人そのものをトータルで診る医療を心がけています。

前 田けいこ(以下、けいこ): 辻内先生、こんにちは。私たちメイド・イン・アースとポレポレクリニックのつながりは、ポレポレクリニックでメイド・イン・ アースのアイテムを取り扱ってくださっているご縁から始まったんですよね。私も以前から先生とゆっくりお話してみたいと思っていたので、とてもうれしいで す!

辻内優子先生(以下、敬称略): 私、メイド・イン・アースの大ファンなんです。ほら、見てください、これ(……と、レッグウォーマーを指さす)! 元々ひどい冷え性だったのが、足元にくつしたを重ねて、さらにレッグウォーマーを重ねることで、体調も肌ツヤもよくなり、いつも元気で過ごしています!

けいこ: ありがとうございます! 今日は女性の心とカラダの冷えについて、じっくりお話をお聞かせくださいね。

■患者さん個人を“全人的”に診る医療

けいこ: 大学病院の小児科医として多くの子どもたちに接してきた辻内先生は、3人のお子さんのお母さんでもあり、忙しい日々を送っていらっしゃいますね。

ポレポレクリニック院長の辻内優子先生。親と子、家族全体の心のケアに力を入れている

辻 内: 私は子どもが大好きで、子どもを診る医者になりたいと幼いころから思っていました。小児科医として勤務していた時代にたくさんの子どもと接して子ど もの心を診ているうちに、子どもだけを診ていても、本当に必要なケアやサポートはできないことに気づき、子どもを育てている大人のケアこそ大事だと思い、 心療内科に移ったんです。

けいこ: 勤務医時代に経験した先生ご自身の妊娠・出産・流産の体験から、仕事と家庭の両 立の難しさや効率優先の医療に悩んだ時期もあったとお聞きしています。辻内先生が目指す「患者さんを第一にする医療」を目指して「ポレポレクリニック」を 開業したのが2009年4月とのことですが、ぜひ、開院のコンセプトをお聞かせください。

辻内: お母さん自身が悩んでいたり、困っていることがあっても、育児中のお母さんが自分のために病院を受診することは難しいことが多く、それなら親子で一緒に来られる病院をつくればいい、と思ったんですね。

ポ レポレクリニックでは、患者さん一人ひとりに合わせたオーダーメイドの医療をポリシーとしています。西洋医学も東洋医学も分けず、その人すべてをトータル で診る“全人的医療”を目指し、必要に応じて漢方薬も処方します。西洋のクスリと漢方薬の違いは、前者が症状に対して処方するのに対し、後者はその人全体 を診て処方します。そこが大きな違いです。

私は患者さんを“治す”というよりも、患者さんがどういう風になりたいのか、どういう状態を “治った”と考えるのかを一緒に考えます。診察時には、「健康って、幸せって、治るって何だろう」という話をよく患者さんとします。「私はこう思うけれど も、あなたはどう思う?」と話をすりあわせながら、答えを見つけていくのが私の行っている診療です。

けいこ: 患者さんと時間をかけて対話し、心とカラダをトータルで診るポレポレクリニックの評判は、口コミや紹介で全国に広がっていますね。患者さんの多くは子育て中の女性で、お子さんと一緒に、あるいは家族全員で来る人もいるとか!

辻内: ご家族全員で来院なさる時は、和室で膝を突き合わせてじっくり語り合うこともあるんですよ。

■冷えと産後うつ、不妊の関係

けいこ: 最近は産後うつが増えていると聞きます。これも冷えと何か関係があるんでしょうか。

辻 内: 産後うつと冷えは深い関係がありますよ! 出産は人生の一大イベントで、漢方的に言うとお産は“気虚(ききょ)”と“血虚(けっきょ)”という状態 になるんです。お産はものすごいエネルギーを使い、出血やホルモンバランスの崩れが起こるので、誰でも“気虚”“血虚”になります(*注1)。気虚とは、 だるく疲れやすい、意欲がなくなる、気分が落ち込むなどの状態をいいます。血虚とは、集中力の低下や目がかすむ、白髪になる、爪や歯がもろくなるなどの状 態です。これらは、まさにうつ状態であり、産後は生理的にうつになりやすいのです。いま、産後うつが多いのは、女性が一人で子育てを抱え込まなければなら ず、相談相手がいなくて孤立するケースが増えているのも一因かもしれません。

(* 注1:漢方では、人間の心身を構成する要素として“気”“血”“水”があると考えている。気は元気、気力、生命エネルギーそのもの、血は血液やホルモンバ ランス、水は体中を巡る水分のバランスを指します。“気”“血”“水”がバランスよく巡っていることを漢方では健康な状態ととらえ、病はその滞りや減少で バランスが崩れることから起こると考えられる)

けいこ: 有効な対処法や予防策はあるんでしょうか?

辻内先生と前田けいこ。「三陰交を温める五本指ハイソックスをつくりたいですね!」

辻内: 産後うつの予防のためには、ともかく冷やさないこと! ポレポレクリニックでは様々な温めグッズを用意していますが、そのなかでも特に一押しなのが、メイド・イン・アースのレッグウォーマーです。

三 陰交(さんいんこう)と言って、内側のくるぶしから指4本分上にある少しくぼんだところにあるツボ、これが女性にとっての万能のツボなんです。三陰交をと にかく温める! 三陰交はお産だけでなく、更年期や生理不順、めまいや頭痛、いろんなところに関わるツボで、ここを24時間365日、真面目に温めていれ ばクスリ要らずと言われるくらいです。こんなに副作用がなくて、アンチエイジングできてしかも安上がりな健康法はないですよ。

女性に冷えは よくありません。頭寒足熱と言って、おへそから上を涼しく、下を温めることで気の巡りがよくなり、女性は健康でいられると昔から言われています。夏は暑い からと言ってみんな裸足になっちゃうけれども、実は裸足でいるからかえって上半身に熱がたまるんです。暑いと言ってのぼせるならば、余計に足を温めるほう がいい。そうしたら上から下に熱が下がっていくから涼しくなりますよ。

こんな風に偉そうに言いますけど(笑)、私も実は冷えとりのことは全 然知らなかったんです。今まで4回流産や子宮外妊娠を経験して、ようやく恵まれた3人目の妊娠の時に、これまでずっと病院で産んでいたのですが今度は助産 院で産みたいと思って相談したら、そこの先生が“あら、あなた裸足ね”とおっしゃったんですね。私は小さな頃から病気も多く、妊娠でもトラブルを重ねてき ましたが、冷えとりを始めてみたらものすごく元気になったんです! 自分の体験から、三陰交を中心に下半身を温めるといいことに気づいて、ちゃんと実践す るようになりました。それまで生理がちゃんと来たことがなかったのですが、冷え取りを始めてから生理不順もなくなり、頭痛や便秘、めまいも改善しました。 いま、仕事がものすごく忙しいですが、体調を崩さなくなりました。

けいこ: 最近は更年期障がいに悩まされる人も増えていますが、冷えとりで更年期がラクになる可能性はありますか?

辻内: 産後、特に産後1カ月にカラダを冷やさないことが一生を左右する、と私は常々言っています。若い時に冷やすと更年期につらい思いをするよ、と。更年期になってからでもカラダを温めると若々しくなります。

あ る50代前半の女性が膀胱炎を繰り返すということで来院され、入院も強い治療もしたくない、できれば漢方で治したいと希望されました。彼女はすごく冷えて いたので、足元を重ねばきして、レッグウォーマーをして、24時間温めるようお伝えし、ご自身もしっかり温める努力をされました。そうしたら劇的に体調が よくなり、膀胱炎も治り、肌ツヤがよくなり若々しくなりました。

けいこ: 先生は産後うつについて、雑誌などで連載もされていますよね。

辻内: 冷えが原因で産後うつになるわけではありませんが、大きく影響はします。冷えていることで“気虚”がひどくなり、体力気力が落ちることでうつになりやすい状態。だから、カラダを温めることは、体調管理だけでなく産後うつの予防にもなるんです。

けいこ: いま、不妊症の方も増えていますが、冷えと不妊は関係ありますか?

辻 内: ありますね。私は不妊治療をまったく否定してはいませんが、まずは順番が大事だと思っています。つまり、不妊治療をする前に、しっかりからだをつ くっておく必要があるということです。カラダが冷えておなかがガチガチになっていて、便秘、頭痛、生理不順などが改善されないまま不妊治療を受けてもなか なか難しいのではないかと思います。本来不妊治療では、こうした統合的なアプローチこそ必要だと思うのですが……。

■素肌に直接身につける布ナプキンは、下半身を温める可能性も

けいこ: 先生は、布ナプキンの愛用者でもあると聞きました。布ナプキンも冷えとりにいいとは言えるのでしょうか?

ポレポレクリニックの待合室では、メイド・イン・アースのレッグウォーマーや布ナプキンなどの「温めグッズ」を販売

辻内: 直接的に布ナプキンが冷えとりになるかと言えば、医学的には言い切れませんが、生理中の女性がデリケートな時期に、最も敏感な器官に石油化学製品を長い時間身につけていることは、感覚的にはイヤですよね。かゆみなども出てきますし。

布 ナプキンが冷え予防になる可能性はあると思います。おへそから下をとにかく温める時に、重要なポイントが3つあって、下腹と腰と足首、ともかくこの3点を 重点的に温めると、とても効果的に冷えとりができます。布ナプキンを使うことで、化学的な刺激を減らせれば、冷えとり効果もあがるのではないでしょうか。

ポレポレクリニックではレッグウォーマーなどの他にも、メイド・イン・アースの布ナプキンも 置いています。私が使っていて気持ちいいからなのですが(笑)。布ナプキンに限らず、オーガニックコットンは身につけると気持ちがほわーっとゆるみます。 副交感神経が優位になっている状態だと言えますね。素肌に直接身につけるものからできるだけ化学製品を排除することで、副交感神経優位、つまりリラックス している状態をつくり出すことはできるだろうな、と実感しています。

けいこ: メイド・イン・アースのファンには、布おむつ育児に取り組んでいる人も多いのですが、布おむつと子どもの冷えは何か関係がありますか?

辻内: 私は、お母さんの心身のケアを最重視しているので、産後うつなどで疲れている方には、無理して布おむつ育児をがんばらなくてもいい、と思っています。もちろん、布おむつの方が好きだったり、ラクだと考えるお母さんは布おむつでいいと思いますが。

“母 親だから赤ちゃんのためにがんばらなければいけない”と言われるし、お母さんもそう考えがちですが、赤ちゃんにとってはお母さんがラクで、笑顔でいること がいちばんうれしいんですね。だから、布おむつも、母乳育児も、離乳食も完璧を目指さず、がんばりすぎずに“つらい時はミルクでも、紙おむつでもいいや” という柔軟さが大切だと思っています。

私は仕事柄、虐待を受けている子を診ることがありますが、その子をケアするためには、まずはお母さんのケアをしなければ根本解決になりません。

だ から、私は西洋の薬も決して否定はしません。本当に必要な時はその人への効き方などを考えて調整しますし、お母さんが飲むことでラクになるのであれば、飲 んだ方がいいと考えています。その人の価値観、世界観をじっくり聴いて、どうやったらその人がいちばんラクになれるのか、肩の力を抜けるのかを一緒に考え ます。

けいこ: そういうふうにして多くのお母さんが笑顔になっていくと、いいですよね。

辻 内: 余裕ができれば自然と、直感的に“これ、いいな”と思うものがわかるようになります。漢方薬のアドバイスをする時も“美味しいと感じるものを飲んで ください”と言いますね。自分に合っている薬は美味しく感じます。食べ物も同じ。あなたが食べて美味しければ、好きならば、気持ちよければ、それを食べて くださいと言います。“治す”というよりも、どうやったらあなたがいちばんラクになれるのかを一緒に考えよう、それが私のスタンスです。

■化学物質、化学調味料、電磁波……人間が本来持つ「自然」を取り戻すには

けいこ: ポレポレクリニックさんは建築の内装材はすべて天然の素材で、化学物質を極力排除した空間は、とてもリラックスできほっとしますね。

待合室横の和室では、家族全員の治療もできる。棚に並んでいるのは「箱庭」といって、患者さんが心象風景を表現することができる

辻 内: 現代の私たちが暮らす生活は、本当にたくさんの化学物質に囲まれています。住宅の建材、洗剤の香料、タバコのにおい……こうしたものに鈍感になるこ とで、多くの人は何とか適応しながら生きているのですが、中には時々適応しづらい敏感な人がいて、私は本来そうした反応こそが正しいのではないか、と感じ ています。

世の中の様々な化学物質や電磁波にいろいろな影響を受け、自律神経系や内分泌系のダメージを受けている人がいて、特に女性に多いようです。

最近は“香害(こうがい)”という言葉もあるように、柔軟剤などに添加されている香料へのアレルギー反応に悩まされる人も増えています。

私 は元々アレルギー体質で、洗剤によってはアレルギー反応が出ることもあります。自分のクリニックを構える時は、できるだけ化学物質を排除しようと思ってい ました。ここは土壁や無垢材などの自然素材の建材を得意とする建築家に設計していただきました。食べ物もずっとオーガニックの宅配を利用していて、そこで メイド・イン・アースのことを知り、それ以来ずっと愛用しています。

けいこ: 同じように、クリニックでは電磁波対策もされているそうですね。

辻 内: ポレポレクリニックでは、院内で電磁波の影響をできるだけ受けないようアースをとって下に流しています。電磁波のうち「電場」をカットする特殊な シートを床や壁などに入れていて、世界で最も厳しいスウェーデンのVDT(*注2)基準値である25V/m以下に近づけています。そのせいか、子どもたち もここに来ると落ち着くようで、あまり騒がなくなります。おそらく日頃の電磁波によるストレスが大きいのではないかと思っています。

電磁波の影響は日本ではあまり取り沙汰されていませんが、携帯電話などの通信機器や、ホットカーペットや電気毛布など電気で熱を出す電化製品を使うときには注意が必要です。

(* 注2:スウェーデンは、世界で最初の電磁波規制法が制定された国で、世界で最も厳しい電磁波規制基準がある。スウェーデンの安全基準は、電場は25V/m 以下、磁場は2.5mG以下。ちなみに、日本には国による規制はなく、日本電子工業振興協会の自主規制値として電場250V/m以下、磁場2.5mG以下 という基準がある)

けいこ: 食べ物にもたくさんの添加物が含まれていますが……。

辻内: これを言い出したらきりがないくらい、添加物の影響についてはみなさん、あまりご存じないですよね。せめてハムやソーセージの発色剤など、見た目にわかるものから避けるようにしてほしいな、と思います。

も う一つ、人は疲れてくるとあえてカラダに悪いものを摂取したくなる傾向が出てくるようです。ストレスがたまってくると、ジャンクフードや甘いもの、カップ ラーメンやお酒やタバコが増えたりしますが、ストレスをマヒさせたいのかもしれませんね。でも、私はそれでいいと思っています。“そういう時は食べてもい いじゃん、無理せずに食べなよ”と言っています。気持ちがラクになることが大切ですから」

けいこ: これだけ巷に氾濫する化学物質や電磁波には、どのように対応したらいいとお考えでしょうか?

辻 内: 正しい知識を持つことと、自分の“なんとなく”という感覚を信じて、自分に合うものを選んでほしいと思います。それから、ガマンや無理をしないこ と、カラダを温めることで、心身ともに健康になることが大切だと思います。電磁波や化学物質などの化学的・物理的ストレスに加えて、睡眠不足や過労などの 身体的ストレス、さらに心理的なストレスが加わると、冷え、頭痛、胃痛、生理不順、めまいなど、その人のウィークポイントに症状が現れます。人間は本来、 自己治癒力を持っているので、普段から自己治癒力を高める生き方……自然に、あるがままに、無理をしないこと、からだにも無理のない自然のものを取り入れ てほしいな、と思います。

いまでは普通のスーパーマーケットでも無添加の食材や有機野菜を取り扱うようになって、昔よりだいぶ便利になりました。メイド・イン・アースのような、製造工程でも化学物質を排除したオーガニックコットンも、ますます求められるようになるのではないかと思います。

私 はぜひ、メイド・イン・アースさんに“重ねばきのできる五本指ハイソックス”をつくっていただきたいんです。今日何度もお話しした、三陰交を温める長さの ハイソックスがほしいです。そのうえに重ねばきをして、さらに三陰交をレッグウォーマーで温めるようにしたい。まずは足元を温めることから始めて、しっか り自己治癒力を高めて、女性たちに明るく、イキイキと生きてほしいと思っています」

けいこ: ありがとうございました。

冷 えをとることの大切さ、人間の心とカラダをトータルで診る医療を実践している辻内先生の姿勢にとても共感しました。何より、メイド・イン・アースのファン でいらっしゃる辻内先生と、オーガニックコットンで下半身を温めることで、女性の心身の冷えを改善し、そしてリラックスして笑顔でイキイキ暮らす秘訣を学 びました。これからもぜひ、統合的なアプローチから女性の心とカラダについてお話をうかがい、メイド・イン・アースでもコラボしていけたら、と思います。 今後もよろしくお願いします!

Information

ポレポレクリニック

http://www.poreporeclinic.jp/

東京都武蔵野市境南町2-3-4 五番館ビル4F

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