地雷原の人々の希望をのせたオーガニックコットンのカンボジア・クロマー。

1月7日〜14日、「NPO法人 地雷原を綿畑に!NatureSavesCambodia!」共同代表・山本賢藏氏の案内のもと、メイドインアース代表の前田と、織りや染色の経験豊かなスタッフの堀越が、首都プノンペンにほど近いコ […]

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1月7日〜14日、「NPO法人 地雷原を綿畑に!NatureSavesCambodia!」共同代表・山本賢藏氏の案内のもと、メイドインアース代表の前田と、織りや染色の経験豊かなスタッフの堀越が、首都プノンペンにほど近いコーダエ村、カンボジア北西部の地雷原の村・バッタンバン州バダク村を訪ねました。

●地雷原をオーガニックコットンの畑に!

バダク村の地雷原で栽培されているオーガニックコットン

メイドインアース代表の前田がカンボジアを訪れたのは今回で2回目。カンボジアでは1月がちょうど綿花の収穫期にあたるということで、収穫のお手伝いをするとともに、現地の人々に、メイドインアースの想いを伝え、交流し、技術指導をするという目的で海を渡りました。

1960年代のベトナム戦争時代からポル・ポト政権時の長い内戦の間、カンボジアには400〜600万個の地雷が埋められたといわれています。すべてを撤去するにはあと100年以上かかるとも。カンボジアの場合、人々の生活の場のすぐ近くに地雷が埋まっているのが特徴で、貧しい人々は土地を追われ危険な地域で暮らすことがあるため、地雷を誤って踏んでしまい手足を失う怪我をしたり、命を失う人が今なお後を絶ちません。

日本の「NPO法人 地雷原を綿畑に!NatureSavesCambodia!」と、NPO代表の山本氏が設立発起人となった現地のNGO団体「Nature Saves Cambodia!」では、地雷原から地雷を撤去して農地として開墾し、オーガニックの綿花を栽培することで、現地での織物産業を復活させ、地雷被害者の自立支援を行うことを目的としています。NPOとメイドインアースのコラボレーションで生まれたブランド「WITH PEACE(ウィズ・ピース)」は、カンボジアの地雷原で育ったオーガニックコットンを現地の人々が手紡ぎし、手織り、天然の植物染めでつくった製品を紹介しています。

●産業と笑顔が戻ったコーダエ村。

コーダエ村で手紡ぎするおばあちゃん

カンボジアの首都プノンペンから車で1時間ほど。コーダエ村は元々織物の村として知られていました。染織を担っていたのは村の女性ですが、内戦とその後のポル・ポト政権の支配下で産業が崩壊し、職も住居も失いました。ポル・ポト政権後、輸入絹糸で一度染織産業が復興したものの、近年は発注の激減によりまた衰退……歴史や社会情勢にに翻弄された村の人々たちは、貧しい暮らしを余儀なくされていました。

WITH PEACEプロジェクトがスタートし、コーダエの村に糸を紡ぐカラカラという音と、女性たちの笑い声が戻ってきました。主に紡ぎを担当するのは70〜80代のおばあちゃんたち。内戦で途絶えていた紡ぎと染織の技術を、村の若い人たちに伝えていくことで、知恵の伝承も行われています。

ワーンさんの工房で染色された糸

現地では堀越が、コーダエ村での染織の素材を入念に調査してきました。ピンク色はチョムプーというベニの木科の植物の実の種と、アムピルトゥックというタマリンド科の木の樹皮を煮出して染めたもの。唐辛子の葉、ノヌーン(ナス科)の葉、アンモルダイの葉で糸を煮出すと淡くやさしいグリーンに染まります。ほかにもプロフーを煮染めした黄色の糸など、現地の植物をどのように掛け合わせ、色を出してきたのかを聞いてきました。

日本に存在しない植物で染められているものが多く、現地でも試行錯誤してさまざまな植物を使って染色してきたこともあり、これまで染色の素材や工程について詳細に把握することが困難でしたが、今回現地を訪れたことで、安定的な生産と管理、工程を指導することができたのは収穫です。
「いずれも煮染め、浸して染めるというシンプルな染色で、媒染を使う場合も自然由来のものなので、肌への影響や環境負荷も少ないですね」とは堀越の話です。

ワーンさん(後列中央の男性)の工房で。前田の右隣が山本さん

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